2012年11月08日

コバンムシ

体長12oほどの水生半翅で、水質が良好で水草が豊富な池に生息しています。
国内では本州と九州に分布します。分布域は広いものの産地は限られており、しかも近年は絶滅した地域も少なくありません。現存産地ははたして何か所あるのか…私は詳しくは存じませんが、下手すれば近い将来10か所以下になることも十分に考えられるのではないでしょうか。
ブログコバンムシ.jpg

私が初めてコバンムシを見たのは大学3年の時でした(もう20年近く前!)。ゼミの先輩が、卒業研究の実験に使うということで静岡市の鯨ヶ池から大量に持ってきたオオカナダモの中に偶然に紛れていたのを、「変な虫がいたけど欲しい?」と私にくれたのです。あっけない出会いでした。この鯨ヶ池は、当時は水はきれいであった記憶がありますが、池そのものがヘラブナやブラックバスの釣り堀になっており、しかも生えている水草のほとんどがオオカナダモで、水生昆虫にとってあまり良い雰囲気ではありませんでした。しかしその後、出かけるたびに毎回苦労せずに採集でき、当時は確かに多産していました。
加えて、鯨ヶ池からそれほど遠くない場所にある諸川池でも採集することができ、個人的には「池に普通」な虫だと思っていました。

しかしその後、2つの池からは姿を消してしまいました。それ以前に絶滅したことが明らかとなっている桶ヶ谷沼を加えて静岡県における本種の既知産地での生息の可能性は極めて低いと言えます(個人的には静岡県からは絶滅したと思っています)。「生き物は、いなくなるときはあっという間」であることを実際に体験したのがこのコバンムシでした。
ちなみに、静岡県からいなくなった要因は、水質の悪化(桶ヶ谷沼・鯨ヶ池)、コオイムシの異常な大量発生による駆逐(諸川池)ではないかと私は推測しています。

2014年5月16日追記
交尾のためにオスがメスの背に乗っているところです。
コバンムシの交尾.jpg


posted by 源五郎 at 22:22| Comment(2) | 水生半翅 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
小判虫はなんとも魅力のあるネーミングの虫です。初めて野外で見た時は、ゲンゴロウを捕まえた時以来の感動だったのを記憶してます。産卵数は多いと聞いていますが、残れないのにはやはりデリケートな生き物なんでしょうね。なぜか子ども向けなどの図鑑では、水生昆虫の代表種の一つですが、その子供たちが大人になった時も、生息できる環境を一つでも多く残したいものです。
Posted by 海獣 at 2012年11月09日 12:38
ナミゲンなどと違って、東北の産地が少ないのも危険性の高い要因の一つですね。
実際、現存産地はいくつあるのでしょう…?
Posted by 源五郎 at 2012年11月09日 22:48
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