2014年04月29日

ショキタテナガノエラヤドリ

前回紹介しましたショキタテナガエビの鰓腔(頭胸甲と鰓の間)に寄生する甲殻類の一種です。等脚類(ダンゴムシの仲間)に属します。その存在は古くから知られていたようで、私自身もちょうど今から20年前に西表島でショキタテナガエビを見つけた際、本種に寄生された姿を見て「気持ち悪いなぁ」と思った記憶がありますが、新種記載されたのは2010年と比較的最近のことです。

寄生された側の頭胸甲は膨らみ、淡く黄色い姿が透けて見えますので、寄生されていればすぐにわかります。
ショキタテナガノエラヤドリ1.jpg

鰓腔から取り出した姿です。これは背面です。
ショキタテナガノエラヤドリ2.jpg

そしてこれは腹面です。頭は左側、腹部は右側で、体の両側には小さな脚が並んでいます。なお、写真の個体は雌ですが、腹部には体が細くて小さい雄がくっついています(分かりにくいですが、雌の腹部中央に頭を左にしてくっついています)。どのタイミングでショキタテナガエビに寄生するのか、どうやって繁殖し雄と雌が出会うのか、不思議ですね。
ショキタテナガノエラヤドリ3.jpg

ショキタテナガエビは西表島固有種でありますので、本種も西表島固有種です。かつては気持ち悪いなと思ってしまいましたが、その希少性に加え、改めて見ると丸っこて脚も短く、なかなか可愛らしく思えてきました。

posted by 源五郎 at 08:18| Comment(0) | 甲殻類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月28日

ショキタテナガエビの額角

西表島固有のテナガエビで、河川の上流に生息しています。国内唯一の陸封のテナガエビであり、孵化したゾエア幼生は海に下ることなく河川に留まり変態します。
額角はほぼ真っ直ぐで木の葉状をしており、歯は上縁に10〜12(写真の個体は10)、下縁に2(写真の個体も2)あります。
ショキタテナガエビの額角.jpg

posted by 源五郎 at 20:14| Comment(0) | 甲殻類 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月27日

2014年04月07日

アシブトカタビロアメンボ

日本固有種で、宮古島・石垣島・西表島から確認されています。宮古島からの記録は青柳(2013)のもので、比較的最近になって見つかったものです。
体長は約3oで、脚の基部は黄色いですが、体は光沢のない黒色です。
河川上流部の淀みで、成虫・幼虫ともに群れを成して水面を素早く泳いでいます。

これは本種の雄です。
アシブトカタビロアメンボ1.jpg

そしてこれは雌です。
アシブトカタビロアメンボ2.jpg

本種は左右の複眼が大きくて、体が黒く、脚も長めで、個人的にはちょこっと苦手な形態をしています(普通に触れますけど)。この苦手なイメージ、以前にも経験あるなと思ったら、キマワリに対するイメージと同じでした。一応、虫屋の端くれですが、どうもキマワリだけは苦手で触れないのです。
posted by 源五郎 at 19:32| Comment(2) | 水生半翅 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年02月27日

サンゴアメンボ

国内では南西諸島に分布する海浜性のアメンボです。体長は4mmほどです。
干潮時に、岩場がある海岸の水面を素早く移動しています。文献によると、満潮時には底にくっついて水中で過ごすようです。どうやって確認したのか気になるところですが、捕まえた個体を容器に入れ、海水を入れたところ、体の周りに空気をまとった状態で容器の底に張り付いたので、野外でも体についた空気を使って呼吸しながら過ごすのでしょう。

ブログサンゴアメンボメス.jpg

ほぼ同所的にケシウミアメンボも見られますが、ケシウミアメンボがタイドプールの小規模な水域を好むのに対し、サンゴアメンボの方がより開放的な水域を好みます。また、サンゴアメンボの方が個体数は少ないです。

このサンゴアメンボは雌雄で前脚の形態が異なり、雄は太く頑丈でトゲがあります。ですが、写真の個体は雌です。南西諸島に行くことがあれば、今度は雄を採集してみたいです。
posted by 源五郎 at 09:28| Comment(0) | 水生半翅 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年02月15日

外来生物

静岡県浜松市の海岸には、全国的に希少な水生昆虫が生息する池があります。ここは現在、防潮堤の建設で埋め立ての恐れがありますが、今回はそれは置いておいて、最近じわじわと増えつつある外来生物について話をしたいと思います。
写真は、1月に伺った際に見つけたミシシッピアカミミガメ、アメリカザリガニ、ウシガエル(幼生)、スクミリンゴガイです(ただし、同時に網に入ったわけではなく採れた個体をただ並べているだけです)。

外来生物.jpg

この時期は水位が下がっていて生き物が見つけやすいこと、動きが鈍いこと、他の生物があまり見られなかったことから、かえってかなり目立ちました。この池は、砂浜のなかに隔離されているので、外来生物が自ら他の水系からやってきたとは思えません。
以前には、メダカ(産地は不明)を自ら放流していることを自慢げに話してきたおじさんがいました。メダカの放流はそれはそれで問題ですが、100歩譲って、まだ放流する人の気持ちはわからなくもありません。アカミミガメについても、(決してやってはいけないことですが、)飼いきれなくなって逃がしたことは想像できます。
でも、スクミリンゴガイはどうでしょうか?これをこの池に放す理由が見当たらないんですよね。

posted by 源五郎 at 00:35| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年02月05日

マダラミズカメムシ

国内では中部地方以南の本州と四国、九州、南西諸島に分布するミズカメムシの仲間です。
山間部の、周囲を林で囲まれたうす暗い水域で見られます。私はあまり多くの産地を知りませんが、河川上流域にある堰堤上部の枯れ枝がたくさん浮いているような場所でしばしば見かけます。このような場所で水生昆虫をあまり探さないだけで、よく調べれば産地は増えるのかもしれません。

体長は、ミズカメムシの仲間の中では最も小さく2〜3o程度で、一見終齢幼虫かと思ってしまうことがあります。また体色は淡い黄褐色で、緑がかることが多い他種よりも地味な色合いをしています。

これは本種の雄です。
マダラミズカメムシ♂.jpg

そしてこれは雌です。この仲間はいずれも雌の腹部はふっくらとしていて、一見して雌雄が判別できます。
マダラミズカメムシ♀.jpg

本種の特徴は、中脚腿節内縁にトゲの列がないことです。
マダラミズカメムシ雄右中脚.jpg

ちなみに、国内に産するミズカメムシの仲間には、本種を除くと中脚腿節内縁にトゲの列があります。以下は、以前にも紹介しましたが、ムモンミズカメムシの中脚腿節です。トゲの列があるのがわかります。
ムモンミズカメムシ♂中脚腿節.jpg
posted by 源五郎 at 22:02| Comment(0) | 水生半翅 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月26日

「リュウキュウヒメミズスマシ」に写真を加えました。

成虫の横からの写真と、終齢幼虫の写真を紹介しました。
http://gengoroh.seesaa.net/article/188057604.html
posted by 源五郎 at 09:34| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月20日

「エサキコミズムシ」に写真を加えました。

雄の外部形態と、右交尾鈎、右前脚にあるペグ列の様子を紹介しました。
http://gengoroh.seesaa.net/article/383560995.html

posted by 源五郎 at 01:24| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年01月17日

沖縄島にて その2

13日、沖縄県立博物館にて開催されたシンポジウム「イリムティ ヌ ヤママヤー」に参加しました。
ブログ沖縄06.jpg

午後から開催ということで、午前中は博物館見学をしました。詳しくはありませんけど、歴史や文化にも興味がありますので、自然史部門と合わせて、とても楽しめました。行ってよかったです。
ブログ沖縄07.jpg

ただ、残念なことが2つ。
ブログ沖縄01.jpg
タッチパネル式の沖縄の生き物コーナーにて紹介されていたメダカです。沖縄島のメダカは現在も急速に生息地を減らしています。私の知っていた産地も外来の魚によってここ数年であっという間に絶滅してしまいました。
それはともかく、この写真、メダカでなくカダヤシですね…。

次はこれ。
ブログ沖縄03.jpg
標本による沖縄の昆虫の展示です。おお、フチトリゲンゴロウ!…、あれ、なんだか小さい?、と思ったらコガタノゲンゴロウでした。

さて、午後からのシンポジウムでは、イリオモテヤマネコの現状のほか、西表島の鳥類や昆虫の紹介もありました。意外に思ったのは、多数の自動撮影装置を設置することで、イリオモテヤマネコが平野部ではなく標高の高いエリアにも分布していることが近年の研究で明らかになってきたことです。
そういえば、かつて西表島の山岳エリアには、イリオモテヤマネコよりも大きいオオヤマネコが住んでいるという噂がありました。まあ、生態学的に、あの島の大きさでイリオモテヤマネコだけでなく、さらに大きなヤマネコも生息することは考えにくいことのようですけど、いてほしいなあという気持ちもありました。でも、あれだけの自動撮影装置でも写らなかったわけですから、(当たり前のことですけど)やっぱりいないんだなあと思った次第です。これで、生き物のロマンがまた一つ減りました。
それから、イリオモテボタルは、これまで人家のサンゴでできた石垣で確認されてきましたが、これまた最近の研究によって、林道や、海岸の防風林にも生息することが明らかになったということでした。実際の産地はわりと多いようで、絶滅が強く危惧されるような昆虫ではなさそうです。

このように、いろいろ勉強になった一日でした。
最後に、今回、ずっと同行して下さり、車の運転もしていただいたI先輩、ありがとうございました。
posted by 源五郎 at 07:56| Comment(2) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする